「ちょっと、私、酔った?」



実は私。
ここから完全に、記憶がない。

さっきまでは、何となく覚えていたけれど。



哲が、アイスを開けてくれて。

固くて掬えない、と、べそをかいた私の口に、入れてくれた辺りまでは、何となく。

いっそ覚えてないほうが良かったと思うくらい、馬鹿女丸出しだった事を、覚えている。





「蜜、蜜、ここおいで」

「うん」


私は、ごく素直に頷いて。

にじりよるように、真ちゃんの膝に乗ろうとするのを、哲は。

私の足首を掴んで、引き戻す。



すっかり酔いも冷めてしまった哲だけが、アイスあるなんて言わずに、さっさと寝かせれば良かった、と。

繰り返し呼ばれては、繰り返し応じようとする私に、手を焼いていた。