「生活費の振り込みは、今まで通り」


500万は、持って帰れ。

いずれ、あいつが結婚でもするような時まで。




「……ですが…」



頃合いは計っていたのか、唐突とも思える仕草で、雅を連れ離れた鷹野の、後ろ姿。

もう、道の遥か向こう。


可愛らしくも、ますます母親に似てきた事を知らない、雅の姿と共に。






「私が里親として、見ているんです。この方の名の下に」


決して、不自由はさせません。


ですが、いくら大切にしようと心掛けても、肉親の情にはかないません。

現金で愛は買えませんが…将来、何かの折に。



「捨てられた訳ではない、という、証に…してあげて下さい」