「あの……あとで…」


雅は、凱司と宇田川とを見比べて。
堅く緊張している男へと、視線をやった。




「………わかった。ケーキは用意してあったな?」

「はい。マスターが作ってくれたんで、今から頂きに」




「鷹野」

「…………」



雅の背後を護るように立つ鷹野は、じっと、不躾なほどに、男を見据えたまま。




「……プラチナのさぁ…誕生石のついたやつ…アレも良かったな」

リンゴの形してんの。
雅ちゃんに、似合いそうだった。




「指輪。買ったよ、お揃いで」


鷹野の外れない視線に、恐る恐る目を上げた男は。

自分を、やや怪訝そうに見ていた雅と目が合って、慌てて。

手元のコーヒーカップに、視線を落とした。