愛していたんです、と。

視線はそのままに、男は。


死んだことを、受け入れられなかった、と。

彼女に似たあの子を、見ていられなかった、と。


不意に、声を震わせた。




「可哀想な事を……しました」



窓の外、更に店の中。

アクセサリーを選ぶ2人は、ようやく何かに決めたのか、会計をしているように、見えた。




「あんなに、小さかったのに」

あの子は今、幸せでしょうか。
僕を、恨んでいるでしょうか。



目許を押さえた男から目を離し、凱司は。




「俺にはわかんねぇよ」


と、吐き出すように、呟いた。




「…他人からいくら幸せだろうと見られても、そうじゃない事はザラだ」


逆も、そう。

父親の話をしねぇんだから、恨んでるとも、恨んでないとも…幸せかどうかだって、わかりゃしねぇよ。