雅の、誕生日。

今日で17になる彼女は、未だ幼い顔立ちで。

くるくると表情を変えては、隣に立つ男に、笑顔を向ける。



その目は、曇り無く。

ただ、無邪気に。
ただ、嬉しげに。




「お揃いがいいな」

「お揃い…ですか?」


選んでいるのは、貴金属。


何を話しているのか、仲睦まじく。

顔を寄せるような。
耳打ちをするような。

そんな距離で、笑い合う。





「じゃあ……鷹野さんの持ってる…ほら、黒いの」

あれと同じ石のがいいです。
何でしたっけ…オニキス?




「黒かぁ……」

でも雅ちゃんの誕生石、赤だよね、と。

困ったように首を傾けた男は、遠目ながらにちらりと、こちらを見た、気がした。