ね、凱司さん。
さっきの人、大丈夫ですか?



「……大丈夫だろ」

流してやっただけだから。




「…え?」

「便器に頭突っ込ませて、流しただけだ」




「え…えぇぇ………」


「なんだ。殴ってねぇのに文句あんのか」

「………だっ…て」



だいたい、お前が大人しくナンパされてんのが悪ぃんだろ。

俺が居るのに逃げてこない、ってのはどういう事だ。



「…だって」

「だってじゃねぇ」




「…だって!凱司さん、ずっと怒ってたし!!」

「……二日酔いなんだよ!!」


「だから今日は止めようっていったじゃないですか!」

「んな事が出来るか!!!」

「どうしてですか!!」



凱司の膝に頭を乗せたまま、雅は声を上げる。

凱司も、指に雅の髪を絡ませたまま、大声を上げて。

互いに、睨み合った。