正しく会計を済ませて。
やっぱり訝しげな店員を無視した凱司は。
雅を後部座席に押し込みながら、横になってろ、と囁いた。
「あの……」
雅は大人しく、シートにぺたりと寝ころんで。
「……ごめんなさい」
「…………」
バックミラー越しに睨まれた気のした雅は、そのまま泣くでもなく、縮こまった。
「…少し待て。今停めるから」
「…………ぅん」
低いけれど、確かに和らいだ凱司の声に。
雅の返事も、僅かに甘さを帯びた。
さほど行かないうちに車を停めた、コンビニエンスストア。
凱司はひとりで店に入り、戻ると。
雅にアイスBOXのグレープフルーツ味を、渡した。