しばらく、無言だった。
余計な詮索をされるのも気分が悪い、と、一番離れた場所から雅を見ていた凱司は。
もぞ、と身じろいだ雅の顔色の悪さに、ますます眉間にしわを寄せた。
「………ちょっと…お手洗い」
吐きそう、と呟いた雅は、助けは要らない、とばかりに、凱司を見ないまま、ふらふらと部屋を出る。
大丈夫か、と訊きかけたけれども。
朝から不機嫌な態度を取っている自覚のある凱司は。
ひとり残された部屋で、苛々と煙草に火をつけた。
1本、2本。
3本目をつまみ出しかけてようやく。
「………大丈夫…か…?」
戻って来ない雅に、苛々は不安に変わった。