「ごめんなさい…すぐ、治りますから……」
真っ青な顔で、転がり落ちるように車から降りた雅が、その場でうずくまる。
「そこ、借りてこい」
「……………だいじょ、ぶ」
「………」
うずくまった形から、更に崩れそうになる体を、思わず支えて、凱司は。
盛大に舌打ちすると、そのまま雅を抱き上げた。
「休む」
「…だいじょ…」
「黙ってろ」
カラオケ店員の不審げな視線を完全に無視した凱司に抱えられ、指定された部屋のソファーに下ろされた雅は。
ほっとしたように、そのまま倒れ込んだ。
ますます訝しげに、ルールを殊更ゆっくりと説明しようとする店員を、ただの車酔いだ、と手を振って追い出してから、ようやく。
靴を脱がせ、下着を弛めてやろうと、背中に手を入れた。