行くぞ、と。
眉間からシワの抜けない凱司に促されるままに、完全に俯いた雅は。
怒っているのか、困っているのか。
唇の端を微かに上げたまま、表情を強ばらせていた。
酒臭さは抜けたものの、相変わらず不機嫌そうな凱司に。
何か、気に障るようなことをしただろうか、と、ちらりちらりと、横顔を盗み見ては、小さく息をひそめた。
そんな、ひどくつまらなく不機嫌で、不安でたまらないような緊張した時間を過ごしてしまったせいか。
雅が珍しく車酔いを起こして、遠慮がちに半泣きで、車を停めてくれと訴えたのは。
まだまだ目的地からは遠いような、場所。
有名な、カラオケチェーン店のすぐそば、だった。