粗熱の取れた、モロヘイヤ。
雅はそれを、ザクザクと刻み、細かく、細かく、叩くように刻んでいく。
それをどうするのか、と、ただ眺める凱司に。
「叩くと粘りがでるんです」
薄く伸ばして密閉して、凍らせれば便利なんですよ、と。
雅は、囁くような小さな声で、言った。
興味なさげに目を逸らした凱司に、やっぱり困ったように口をつぐんだ雅は。
刻み終えて塊になった緑色を、袋に詰めて。
薄く、薄く、袋の中で伸ばす。
後から折るつもりなのか、指先で筋を付ける雅を見ないまま、凱司は。
「……風呂」
とだけ呟くと、立ち上がった。