本当は、今日は。

日々の、雅の家政業に対する、“夏のボーナス”と銘打った、特別な、日。


何日か前に、現金がいいか、物がいいか訊いた凱司に、案の定。

頑なな固辞を示した雅。


当然、そうなることは見越している凱司が提案した、“それならば”




「…昼過ぎに出るぞ。支度しとけ」

「……………でも」

「でもじゃねぇ」



明らかに、自分の体調を気遣われての「でも」に、凱司は不機嫌そうに、薬を飲み下した。




「………はぃ」


食い下がっても怒られるだけな気がした雅は、困ったように返事をすると、おとなしくキッチンへと、引っ込んだ。