「わざわざ…ありがとうございます」


「おぉ…本当に真っ赤だ」

「…………」



団長は、ちょっと蜜さんと似た間を取る。

不快じゃない、独特の、間。


きちんと頭を下げた佐伯さんも、何となくそう感じたのか、すみません、と苦笑を浮かべた。


団長は、彼の髪をまじまじと見つめて。


「怪我は、いかがですか?」

なんて。


彼も、おかげさまで、なんて。


なごやか、だけれどもお互いに、視線は引っ込んでしまった蜜さんを、気掛かりそうに、追っていた。






「早く捕まえてしまいなさい、って言うのも…違うくらいなのに…」


団長は、深くため息を吐くと。

野良猫のつもりでいる子猫は、いつまでも怖がりで困りますね、なんて。

妙にしっくり来る事を言って。




行きましょう木下さん、時間があるなら、ケーキでもいかがですか? と。

無邪気で下心のない、たらしっぷりを、見せた。