「………怒る?」

「……怒られると思ったから逃げたんだよな?」


「……………はぃ」



きゅ、とスカートの裾を引っ張る雅は、わずかに目を泳がせて、周りをちらりと見回した。


好奇の視線は、色々な方向から、色々な事に向いている。

凱司の身長や、鷹野の容姿。
雅の格好、友典のウサギ。

その友典に似た、黒いスーツの、髭。




「……あの、…あたし……ちょっと用が…」


友典さん行きましょう!
と。

雅はだらだらと冷や汗をかきながら、友典の手を取った。





「ごゆっくり!」


トランプ型のチケットを、宇田川にまとめて押し付けて、雅は。

再び脱兎の如く、駆け出した。