どうしたんだろう。

あんなに、元気ないなんて。



ギリギリの音で、なんとか合奏を終えた高崎さんは。

誰とも笑い合う事無く、テキパキと片付けて。


ごめん先帰る、と。
その長い足で、走るようにして、行ってしまったから。


私は、なんとなく。

何か蜜さんとあったのか、それとも、蜜さんの隣の彼と何かあったのか、と訝しんだ。


うちに帰ったら、蜜さんに電話を…してみよう。





蜜さんは、とても不思議なひとで。
難しくも単純な、ひと。



なんとなく、わかる。

だって、みるみる空元気になったんだもの。



映画に誘ってくれたのは、なにか…意図がある。

私が思うにそれは。


単に、彼を自慢したいだけの事ではなくて。

理由は解らないけど、私と、隣の彼とを会わせようとしている。




…あんなに、彼を好きそうなのに蜜さんは。

あんなに、蜜さんを好きそうなのに高崎さんは。



なにか、あっちでもこっちでも、色々なすれ違いが起きちゃってる気が、した。