数日で縫い上がった雅の浴衣は、そのまま由紀本人の手で、届けられた。
「今夜の…花火大会に間に合って、安心しました」
「………ぇ…」
雅の部屋で、するすると着付けながら、由紀は。
きゅ、と緊張した雅に気がつかないわけがないのに、にこりと笑顔を浮かべた。
「や…由紀さん、雅ちゃんは…花火大会には……」
不安げに目を泳がせた雅の代わりに、鷹野が口を開いたけれど。
「一樹さんがエスコートして差し上げれば大丈夫ですよ」
ねぇ、雅さん。
一緒なら、大丈夫よね?
「……………は…ぃ」
決死の覚悟、とでも言わんばかりの堅い返事は。
到底大丈夫だとは思っていないことを、はっきりと表しているようだった。