ねぇ、哲。

…はぃ。



「酔った時に言うことって“実はこう思ってる”って事?」


「…………俺……何…言いましたか」


「内緒」

「……………」




内緒だよ内緒。

ほんとは眠っちゃう前に、ちゃんとやめてくれてて。

なんかもう、普段の哲なら、そこまでは絶対に言ってくれないような、熱烈な求愛を囁き続けてた…とか言えない。



…言えないよっ。





「蜜…」


私が怒るどころか、少し照れたように笑うのに安心したのか、哲は。



「…俺、マジ最悪」


でも、良かった。
したのに覚えてねぇとかなら、勿体なさすぎるし、なんて。

スープカップの中身を飲み干した哲は、そんなギリギリの冗談を呟いた。




「蜜…ほんと…ごめん。具合悪かったのに…床に押さえつけたなんて」


「大丈夫」




でも。
だから。


改めて、ちゃんと寝よ?

ちゃんと、あったかくしてさ。


そしたら今度は、哲の好きな、ホタテのリゾット作るから。

あーん、って、挿し餌してあげるね。




つーか、挿し餌させてよ?

ね?



アレが、いかに恥ずかしいものか、思い知ればいいと思うんだよ!





~終わり~