酒蒸ししてから凍らせたしじみの、お味噌汁。


哲は、茫然と。

私の後ろ姿を見つめている。
黙ったまま、見つめている。




「はい」


あんなの、飲むからだよ。
吐き気は?

と訊きながら渡した、スープカップを受け取って尚、哲は大反省中なのか、私から目を離さない。


こんな、申し訳なさそうな哲は初めて。

弱気な哲も綺麗だなぁ、なんて、私は内心、ほくそ笑む。





「…ひどい…乱暴…した…?」



だけど、あまりに深刻な顔をするものだから。

おかしいくらい、難しい顔で落ち込んでるもんだから。






「………しないよ?」



私は耐えきれずに、笑みをこぼした。