「…友典さ……ん…?」



半ば自棄になった友典は、雅を囲む他校生を掻き分けた。


ウサギ耳さえ付けておけば、キャラクターの一部であろう、と、友典は。

かっちりと雅の隣に立ち、囲んでいた他校生をぐるりと見回した。




「………か…可愛………」


ふるふると、みるみる頬を紅潮させて見上げた雅は。

見たことのないような笑顔を見せると、いきなり友典の腕に絡みついた。




「アリスをナンパすると、このウサギさんが怒りますよ?」

ね?

と。

小首を傾げて、友典の肩に頭を寄せた雅は。


くっつきすぎです!
胸が当たります!
もうすぐ凱司さんが!

と、喉元にまで込み上がる言葉を必死で呑み込んでいる友典の気持ちなど、気付きもしないのか。


腕を組んだまま。

中でお茶をどうぞ、と。


愛想のないウサギに睨まれた集団に、トランプ型のチケットを、配った。