「気にしなくても、わざわざ蜜だけの為に切り上げて来た訳じゃないから、大丈夫だよ」


哲は、私の手にフォークを握らせると、膨らんだ紙袋を、押し出した。



「カスタードとリンゴのデニッシュと…チェリーパイと…なんだっけ」

「うぐいすあんパンと、チョココロネと、ロイヤルダブルクリームと甘食とマドレーヌ」




「………に゛ゃっ」


甘いのばっかりどうしてそんなに、と袋の口から中をのぞき込んだ。

その状態で後頭部を、いきなり押されたもんだから。

私の顔は、紙袋をぐしゃりと勢いよく潰す。




「な…にすんの真ちゃん!」


私はフォークを握ったまま、私を押したはずの真ちゃんを睨み付けた。



「……や、哲が不憫で、つい」

めんどくせぇ女だなぁ、って思ってさ。




………言葉と…表情の融合って、すごいよね。

なんだか酷い事言われたのに、全然傷付かないや……。