「………」

こんなもの付けられるか、と思った。

いくら自分用に作ったと言われても、無理だ、と思う。


それよりも、案の定、あからさまに雅に群がったように見える、あの塊を、蹴散らしたい。




「……付けないならもう少し離れてて下さい」

「……………」

「いいんですか、あれ?めちゃくちゃ撫でられてますけど」



物怖じしなくなった、と言っても、ここまでだとは思わなかった。

商売の邪魔です、と、にこやかに言い切った田鹿に、再びウサギ耳を押し付けられて。


付けたら、もう少し近くても大丈夫かも、なんて言う加奈子の言葉に眉を寄せて。




友典は渋々、でも意を決して。


黒いウサギ耳のカチューシャを、付けた。