「……お…大人をからかうもんじゃありません!」


チョコレートペンを、何か不吉な物かのように手放して、宇田川は。

赤くなってしまった頬を恥じるように、顔を背けた。




「……でも喜ぶと…思ったんですけど…」

仕方ない…ですね、ごめんなさい、と笑った雅に。


自分はこんなにも情に脆かったか、と思うほど、後悔に似た妙な罪悪感が、宇田川を襲う。



「………雅さんが…何か書いてやってください」

きっと、その方が喜びますから、と。


ようやく落ち着いた心拍数を確かめるように、胸に手を当てて。
甘やかすように、視線を合わせた。



ちょうど。

ただいまぁ、と間延びした声で聞こえた鷹野の声と。

濡れた髪を拭きながら、現れた凱司とに、急に忙しくなった雅は。


じゃあ急いで飾るので、もうちょっと待っててください! と、宇田川から、意識を逸らした。