「あと、デコレーションするだけなんです」


引かれるままに立ったキッチンには、大きな、プリン。


「あたし、生クリームやるので、宇田川さんは……これでLOVE由紀って書いてください」


「………は」



渡された、白いチョコレートペン。

目の前の、綺麗にカラメルの染みたプリンに、何を書け、と言われたのか。





「……ら…らぶ…?」

「LOVE由紀です」

「………………」



手にした、チョコレートペン。

本気か、とチラリと見下ろした雅の目は、紛れもなく本気。




「………あの…これ、由紀に…頂ける…のでしょうか?」

「はい!いつもお世話になってる“お母さま”ですので」


お誕生日、去年は宇田川さんが忘れちゃってて過ぎちゃってたし、凱司さんは教えてくれなかったし…。

由紀さん、プリン、お好きって聞いたので!