エロ可愛いアリスを見張る、悪そうな黒いウサギがいる。


そんな噂は、現実となった。







「宇田川先輩、これ付けてください」

「……………………」


「先輩、怖いんで」

「……………………」


せっかく、アリスにお客さんが寄るのに、先輩がそこで睨んでたら、みんな逃げちゃいます。


そう言って、ウサギの耳を手渡したのは。

物怖じしなくなった田鹿と、元々物怖じしない、加奈子。




「先輩用に作りました!…田鹿が」

「………………」

「自信作です!」


黒い、手触りの良いウサギ耳。

カチューシャに縫い付けられたそれは、確かに手縫いで作られたぬいぐるみのようで。



「ちなみにアリスのウサギバッグも田鹿作です!」




どれだけ器用な男なんだ、と、思わず感心して眺めた友典は。

無言でそれを、突き返した。