「宇田川さん!宇田川さん!」


凱司を送って来た宇田川章介に。
キッチンから顔を覗かせた雅は、ちょいちょい、と手招きをした。



「少し、お時間ありますか?まだ忙しいですか?」

「いえ、大丈夫ですよ。今日はこれで終いですから」



良かった、と、晴れやかに微笑んだ雅が顔を引っ込める。


宇田川は、凱司の靴をきちんと揃えてから。

よろしいですか? と凱司を仰ぎ見た。




「なんだ、早く帰そうと急いだのに」


凱司は片眉を僅かに上げて。
あがれ、とばかりに、小さく顎をしゃくった。