それでも一応、友典は。
父親に連絡しないままでいてやろう、と思っていた。

あんなに嫌がっているのだから、密告したようにでも思われたら。




「………思われたら…?」


はた、と動きを止めて、自分の思考を探る。


思われたら、何だと言うんだ。
それが自分の役目じゃないか。


と思う自分と。


雅の信頼を裏切りたくない。
と思う、自分。






「………………」


友典は、確実に一瞬以上は躊躇して。


どうせすぐ、見つかってしまうのだから、と。

水色のスカートを、追った。



来年は、自分は卒業してしまっている。

だから今日は、最後の文化祭。



特に何かがしたくて選んだ学校ではなかったから、何となく通っていただけの学校、だけれども。

雅の存在は、自分が学校に通う、確固たる理由。


端的に言えば、生きる意味、とも言える。

こんな些細な事でも、味方でいたかった。