「真也に全部食われたの?」


私は、新しく買ったソフトクリームを握り締めて。

哲と杉崎くんの座るテーブルに、割り込んだ。



「………哲の、何味!?」

「…バニラ…だけど」


睨むような私の視線に、哲は怪訝そうに、私を覗き込む。



「蜜?」

なに怒ってんの?と。


ピュアピュアで鈍感な哲は、私が哲の手にあるソフトクリームを取り上げて、杉崎くんに押し付けても。

別に気にはならないようだった。




「半分こしよ!」

「半分こ?」


私は新しいソフトクリームを、哲の口元に突きつけた。

ストロベリーとバニラのミックス。



「……先食べていいの?」

「先じゃなきゃ意味ないもん」



哲は、やや引いたような顔で。
私の目を見ながら、ぺろりと、表面を舐める。

私はそれに、勝ち誇ったようにご機嫌で。


ムッと視線を逸らした杉崎くんを見ながら、ソフトクリームにキスをして。



「はい、順番」


と。
再び哲に、差し出した。




うん。

…私、何してるんだろうね。