小さな声で大騒ぎする私たちを、哲は振り返る。


真ちゃんは楽しそうで。

振り返った哲の視線の中で。

じゃあ俺が“ひとくち頂戴”しとこっと、と私のソフトクリームを、ぱくりと咥えた。




「あああああっ」

「これウマいな。何味だっけ?」


「…………も…桃」

「ああ、乳が桃みたいになりますように的な?」



「………………違う」

……あんな…産毛だらけの乳はイヤ…。



「どれに泣いてんのョ」

「うぅ…」



楽しそうな真ちゃんは、可笑しそうに笑いながら、私の手ごと、もうひとくち、と。

早く食わねーと無くなるョ?なんて言ったのは聞こえたけれど。



私…。


「………くっそぅ…」



あんなあからさまに、勝ち誇られると………



「真ちゃん…新しいの買って!それ上げるから!350円!早く!」





正真正銘ぺったんこに…負けてたまるかッ!!!