「……あいつ、どうしたの?」


怪訝そうに、怪訝そうに。

今日はひどい、と、ひそりと訊いた哲は、さり気なく私を真ちゃんから離すと。



「さぁな。最近ライブしてないし…寂しかったんじゃね?」


なんて笑った真ちゃんの言葉を、鵜呑みにした。


それはもう、真っ直ぐに。




そか…、と。

ちょっと申し訳なさげに首を傾ける。




「……………」


哲は困ったように、わずかに唇のピアスに笑みを乗せた。



「見えるとこにいて」

「……う…うん」




…あのぅ……て…哲?

私……何となく…わかるよ?




緩慢な動きで、杉崎くんのそばに戻っていく後ろ姿を、真ちゃんと、茫然と見つめた。






「…て…哲……が…襲われたら、真ちゃん殺すからねっ」


「…哲って邪気ねぇよなぁ」


ピュアピュア過ぎて、哀れになってきたョ。