そっと、鉢をよけて。
辺りを窺った。

ひとまずは見当たらなかった事に、友典は先に出る。




「…きっと大丈夫です」


「待ってて下さいね!どっか行ったら嫌ですよ!?」



わかりました、ちゃんと待ってますから、と。

友典はどぎまぎと、背に張り付くように隠れる雅を、押し出した。





「あ!!雅いた!」

「ひっ」


「もー!何してんのよー!! お昼からは教室の前で呼び込み、って言ったじゃんー!」


「あっ……でもあたし…着替えないと…!」




なんで着替えるの!
着替えたら意味ないじゃない!

ほら早く!



ぐいぐいと引き立てられ、みるみる離れて行く雅が、縋るように友典に腕を伸ばす。



友典さんたすけて!
と。

明らかに、目でそう叫ぶ雅を見やり、友典は。




すみません、無理です、頑張ってください、とばかりに。

目を逸らした。