「哲は、どれ?」

と、訊いたのは、私じゃなくて杉崎くん。


ようやく着いたのは、暑いけれど、何となく爽やかな、高原?

山梨に高原があるかどうか、わからないけれど。



到底、哲の赤い髪には似合わなくて。
派手にチャラチャラとアクセサリーを鳴らす真ちゃんにだって、のどかな景色は映えやしない。

杉崎くんは…うん、似合う訳ないし。
似合ってたまるかだし。


……なんだあいつ。
なんで哲に張り付いてるの?



哲はちょくちょく、仕方なく真ちゃんと歩く私を振り返って。

蜜の“み”を発音する前に、杉崎くんに引っ張られること三回。


ソフトクリームの種類を訊かれた事を無視した哲は、くるりと体ごと振り返った。