「……なんなんだよ」
どこ行くの、と。
哲は半ば諦めたように、後部座席で、杉崎くんに訊く。
私は助手席で。
靴がない、靴がない、と大騒ぎ。
「ソフトクリーム食いに行こうかと思って」
杉も行くって言うから、連れてきた。
「…ソフトクリームぅ?」
「真ちゃん!靴!靴ない!」
「普通に誘えよ馬鹿。そうしたら断るのに」
「真ちゃん靴ってば!!!」
「蜜うるさい」
「だって哲!」
また靴無いんだよ!
半年ぶりに2度目だよ!
「あーもう…、だから女って嫌だわ。哲だけ誘えば良かったのに」
「……………………」
す…杉崎くん…あんた………
それ…
冗談でも言っちゃ駄目じゃね?
本気なら、尚更駄目じゃね…?
「杉、あとで猛反省会な」
苦笑したような声色の、真ちゃんの横顔は。
ちょっと本気で呆れていて。
ちらりと私に、片眉を上げて見せた。