「哲!蜜!」


突然、玄関のドアから、真ちゃんの声が聞こえて。

ずかずかと、哲の部屋側から踏み込んだのは。

真ちゃんと、杉崎くん。




「…う」



実は…私。
杉崎くんが、ちょっと苦手。

哲に、最高の間を取らせてくれる、名ドラマーだけれども…。


会ったばかりの頃から、ちょっと苦手だった。



…や…なんか…意地悪なんだ。

哲の部屋で呑む彼らに、私はおつまみを作った事があるのだけれど、その時も。


食えんの?と目を眇めて、一切手を付けなかったり。

哲と付き合い始めた頃も。

そういう関係じゃないって言ったじゃないか! なんて叫んで私に掴みかかったり。



何となく。
どことなく。

あまり、好かれてる気もしないし、好きでもないような…
そんな、ひと。