「………た、ね…っ」

取った、んです!
口の……中っ…から!



ひっく、ひっくと。

ようやく喋った雅の、話に主語は相変わらず無くて。


凱司は黙って、その唇を拭う。




「たね…っを…」

お父さんが!



ぴく、と。
宇田川の眉が上がる。

お父さん?
と、頭の中で反復する。





「…………口ん中、指突っ込まれたか?」

「指…じゃ……なぃです!」

「……………」



うわあああん!!!、とばかりに、泣き方の変わった雅は。

まさか、と思い切り眉を寄せた凱司に、抱き付いた。




「…び…びっくり…して…!」


種…を!
…し……舌で!!!