「で、お嬢さんは、誰なのかな?」



凱司に電話をしたけれど、忙しいのか、出なかった。

家の中に入れても良い、特定の人間は、ごく限られていて。


雅はひどく悩みながらも、格子越しにグラスを差し出す、という策に、出た。





「………メイド、です」

「メイド!」


そうか、凱司くんはずいぶん可愛いメイドを雇ったんだなぁ。




差し出されたグラスを、面白そうに受け取った男は。


じゃあ、メイドのお嬢さん。

君がこっち側に来て、少しお喋りでもしないかい?

と。


そのままコンクリートの上に、座り込んだ。