「それから、林檎とバナナと苺」


そろそろ、マスターのムースも冷えた頃。

生鮭の切り身も貰ったから、俺、リゾット作ったよ。



「商店街の…お魚屋さん?」

「そう」



あと、クッキーとかチョコレートとか……なんか、色々。


「…ごめんね、俺、なんか雅ちゃんの好きそうなもの買ってこようと思ったのに」


何にも買うもの、なくなっちゃった。
雅ちゃん、いつの間にあんな仲良くなったの。

みんな、心配してた。


早く熱がさがりますように、って。




くすくすと笑う鷹野の、右手。

ベッドに腰掛けて、額に当てた右手に、雅の手が重ねられて。




「嬉しい」


早く治して、お礼言いに行かなきゃ、ですね。



でも今は、鷹野さんの作ってくれたリゾット、食べたいです。

鷹野の右手を、そっと握って、雅は。



凱司さんのくれたゼリー、実は美味しくなくて、と。

その指に唇を、寄せて。


笑った。





~終わり~