1年に1度しか、逢えない訳じゃない。

いつでも傍にいてくれて。
ひとりぼっちでも、ない。


今日だって、鷹野は。
急いで帰って来るはずで。


彼は、フルーツを星形に抜く自分を見ていたから。

きっと、きっと、楽しみにしていてくれる。


ベランダで、見えるかどうかわからない星を探しながら。

きっと。


天の川見えないね、って、綺麗に笑うんだ。





早く帰って、ゼリーを作り直さないと。

彼は、きっと楽しみに帰って来る。


拗ねて捨てちゃった、なんて、きっとがっかりして、傷つく。

傷ついてくれる。



急いで帰らないと。

スイカを煮詰めた、赤い七夕菓子は間に合わないけれど、ゼリーならば、間に合うかも知れない。



キラキラ、キラキラと。


夕立特有の、雨上がり。



キラキラ、キラキラと。





  ~終わり~