乾いたタオルが、暖かかった。
店は、普段は居酒屋なのかも知れない。
奥行きもない、小さな、店。
店頭で売っていたのは、焼き鳥らしい。
熾きたままの炭火のそばで、雅はその、じわりと暖かい空気と、目の前の女性とに。
突き抜けそうだった恐怖が、ゆるゆると溶けて消えるような予感に、深く、深く、息を吐き出した。
「はい、紅茶。ティーパックの安物だけど」
大きなマグカップに、なみなみと。
熱い湯気を上げる、その茶葉の香りに、雅の揺れた感情は鷹野を思い出す。
「寒い?唇、真っ白」
服、脱いどく?
と、覗き込むような女性の視線に、雅はようやく微かに笑んで、首を横に振った。