大きな、七夕飾り。
歩く度に顔に触れそうなくらいに飾りは大きく、長く、下がっている。
雅は、行き交う華やかな浴衣姿の、同年代くらいの少女たちを見ながら、ゆるゆると、ぼんやりと、歩いていた。
綺麗だけど、と、雅は苦笑する。
こんなに寂しいとは思わなかった。
見上げた空は、明るくて。
夕立でも来るのか、すぐそばに真っ黒な雲が迫っていることに、どきり、と心臓が鳴った。
雷は…鳴るだろうか。
雨は、強いだろうか。
こんなに暑くて、こんなに人がいて。
ひとりぼっち、で。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…