綺麗に星形に抜いた、赤い菓子。
スイカを煮詰めて、糖分を固めた、もの。


これも。

店で作ったわけだから、きっと何人もの人と一緒に、すでに食べたあと、な筈。

彼は、職場で食べたお菓子の感想は言わないから、わからないけれど。




「……」


いつもなら、そんな事はしないのに、雅は。

コトン、コトンと、その小さな赤い星を、捨てた。




無性に寂しくて。

こんなもの、一緒に食べることを楽しみにしていたのは、自分だけだったんだろうと、思う。


ふと湧いてしまった、そんな卑屈な思いに、耐えられなくて。

作ってみた、星形フルーツを閉じ込めたゼリーも、捨てた。


どうせ、今日のうちには帰って来ないのだから、と。