「哲、歌ってみて?」

「え」


「どんな歌?」

「………歌詞…なんだっけ」


「“A sweep is as lucky, as lucky can be”」

「や、そのあと」



………くっそぅ…
何で2人共知ってるんだ…!


哲は、ちょっと待って、と携帯で歌詞を探し始めて。

真ちゃんは、哲のギター貸して、と立ち上がる。




「イギリスでは、煙突掃除の奴と握手すると幸せになれる、っていう話があんのョ」

意味わかる?


真ちゃんは、そんな事を楽しげに喋りながら、弦を爪弾いては、音を合わせていく。



真ちゃんて、音感いいよね。
チューナー無くても、チューニングするし。

完璧じゃない所が、真ちゃんの音の、味。


ちょっと我が儘な匂いがするような、独特の音。