「ひとりか?」


早々に友典に気が付いた凱司は、好奇な視線には馴れているのか、周りを一切気にすることなく、声をかけた。



「はい、たった今、ひとりに」


「なんだ、逃げたか」

「ええ」



行動の何もかもが読まれているじゃないか、と、小さく笑い、友典は、すみません、と頭を下げる。



「あ、雅ちゃんのクラス、メイド喫茶だって」



案内図を眺めた鷹野は、言ってくれれば可愛く作ってあげたのになぁ、と笑いながら、勧誘と興味とで近寄って来た女生徒から、にこやかにビラを受け取った。


過剰に歓声を上げた生徒の気持ちも分からなくはないけれど。


雅が逃げ出した理由も、痛いほどに理解した。


こんなのと仲良く歩いたりしたら、後々まで、何かと大変な思いをするに違いない。




誰だ、とか。
紹介しろ、とか。

…妬みとか好奇とか。