何も言えなかった癖に、わかりやすく機嫌を損ねた私を、哲はどう見ていたのか解らないけれど。


少し残業になるだろう、と決まった時間。

お米だけ炊いておこうと、部屋に戻りかけた私を止めた哲は。



今日、俺がたこ焼き作るから、と。

そう言った。





「…タコ無いよ?」

「ウィンナーとチーズと紅生姜あるじゃん」

「………タコ無い…」

「……ウィンナーチーズ紅生姜焼き作るから!」



ああうるさい、とばかりに笑った哲は。

だから今日はゆっくり風呂入って大丈夫だよ、と。



……ああ、哲、知ってたんだ?

何となく私が、以前より早め早めに急いで入浴してたこと。



だって…
哲、お風呂早いから…

何にもつままないまま、ひとりでビール飲んでるからさぁ…。