哲は、仕事着を脱いで、薄いTシャツ一枚で、くつろいでいる。

頭に巻いたタオルも外して、わざわざ扇風機の前で、髪をなびかせて。


…ちょっとカッコ良く見えるんだけれど、単に頭皮を乾かしているだけだ。

……うん、暑いからね…蒸れるんだよ、きっと。

………熱そうな色だし。





「哲、ごはん出来た」

「ん~、今行く」



哲は、開けたままのドアの向こう側から、私の部屋へと。

手櫛で大きく髪を掻き上げながら、ちらりと…テーブルの上を、見た。




「…………………」

「………………」





あれ…何も言わない………。

え、あれ…?




哲は、一瞬、動きを止めたかのように見えたけど。

そのままいつものように、着席して、こともあろうに。




私の『LOVE』を、いきなりスプーンの背で、塗りのばした。