「何でそれをお前に言わなきゃいけないの」



八代に強張った表情でそう聞かれ、二菜はしばらく迷い

「放っておけないからです」と答える。




担任教師はふぅん、と頷き再びベッドに身を落とした。



「二菜に一つ忠告」

「何ですか」


「優しさって人間にすごく求められるけど、それを周囲に振りまけばいいってわけじゃない。

優しさの内容も、間違えれば人の人生まで狂わせるってことを忘れるな」


「…はぁ?」


「お前の今の優しい言葉は普段と違いすぎてそれほど鳥肌が立つってことだ」



失礼な。



「〈放っておけない〉って台詞は嫌いな相手に使うな。大切な人にだけ言え。

言葉は大切にしろよ」




嫌い。

二菜が怒りのままに吐いた言葉。



〈言葉を大切に〉
…正に国語の先生だ。


だったらあたしはこう返せばいい。