「そうなんですかー」
うんうん納得する山田くんを尻目に、二菜は一人唱えた。
不本意不本意不本意…。
「つってさ、俺も昨日見たんだよねぇ。
ナイスバディーな姉ちゃんに抱かれる夢!
惜しかったなぁ、あとちょっとだったのに」
黙れ変態。
クラス全員が大爆笑する。
何しろこの担任は若くて人懐こくイケメンと、男女問わず大人気なのだ。
サラサラの茶髪に、耳には小ぶりなピアス。
服も、始業式にはスーツを着ていたが
大体ポロシャツにジーンズがお決まりである。
見た目は若干チャラいから校長受けは確実に悪い。
だがしかし、授業の評価は高く買われている。
バカに見えて国語教師なのだ。
うざい。
「あーあ。今日は坂本おかずにして寝よ」
クラスで群を抜いてスタイルが良い坂本さんに振り、坂本さんは
「セクハラ~」と、ブーイングする。
「でも先生なら許す!」
…って満更でもなさそうじゃんかよ。
誰かこいつらの口ホッチキスで綴じろ。
だらだらと続くホームルームに、二菜は最上級に苛々していた。
部活時間が減ってしまうのが、どうしても許し難い。