「ごめんね、先生。冗談だよ?」
恐る恐る言うと、八代は
「あっ。違う違う。そうじゃなくて…」
とよく分からない返し。
「その…何か一条と二菜、言ってること似てるなって」
「えっ。翼と?」
「毒の吐き方といいそういう時の楽しそうな表情といい…」
ふぅん……ん?
それってつまり。
「焼き餅ですか?」
「はぁ!?いい気になるなよ。
大体、餅は正月しか焼かない主義なんだよ!」
そんなことは聞いてない。
「因みに俺は醤油と海苔のトッピングが好きなんだよっ」
そんなことも聞いてない。
目の前で本気でムキになって嫉妬を否定する大きな子ども。
この人とずっと一緒にいたいと、ふっと思った。