八代は床で胡座をかいている二菜に
「何だ、起きてんじゃん」
と、能天気に声をかける。
二菜はプッツンしそうになる。
…この人は、あたしを不愉快にさせるのが本当に上手だ。
なるべく表に出さないように、冷静に対応した。
「何ですか」
「しばらくお前にも迷惑かけるから、改めてと思ってさー。
何ていうか、ごめん」
「いいですよ別に。
先生がいてもいなくても、あたしの人生には何の影響もありませんから」
「おっ。良いこと言う!」
良いことか!?
グッと親指を立てる八代に二菜は呆れた。
「ま、それは良いとして但馬。
国語のノート見せな」
八代はにこっと笑って右手を差し出した。
本当の用事はコレだったんだろう。