神谷の大きく見開かれた瞳から、涙がこぼれる。



「あたし…全然良い女なんかじゃ、ない」



「そんなこと言うもんじゃないですよ。

自分を大切にしてあげられるのは自分だけです」



「だってあたし、但馬さんにひどいことばかりしたのよ?」


「知ってます」


「たくさん、傷つけた。
あんまり反省もしてない」


「人間そんなもんです」


「好きよ、八代先生」



「ありがとう。
気持ちはすげぇ嬉しいです」




その先にある言葉は、言わずとも分かるようだ。




神谷は両手で顔を覆って嗚咽した。