───── ───────… 鈴虫の鳴き声がどこからか聞こえる。 涼しい風が吹いてきた。 翔悟は煙草に、ライターで火を灯した。 「あたしも一本ちょうだい」 神谷に言われ、箱を差し出す。 火を貸し、しばし無言の時が続いた。 「…神谷先生」 「何?」 「先生は、俺が好きなんですか」